知財は難しくないハズ

よみうりテレビ、映像の無断掲載などを監視するシステム「ZENIGATA」導入」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/02/03/6334.html
こんなのは発表した時点で既に敗北宣言と同じ。

知財以前に人間の行動パターンを全く理解してない。

最初2、3人ほど情報音痴が血祭りに上げられて、それがニュースになって、皆が回避策をとるだけの相変わらずのいたちごっこになるといういつものパターン。

SoftwaresがW@r3zに、「死ね」が「氏ね」になるだけということで。

ジャストシステム一太郎と花子が松下の特許を侵害していたという例の裁判について、ニュースやらBlogやら色々見てまわったのだが、言及するに足るほどの意見が全く見当たらない。

一体どうしたらこんなトンデモナイ意見を公表しようと思うにいたるのか理解できない。特に噴飯モノのは、「一太郎が使えなくなるなんて大変なことだ」という妄言。

仮にジャストシステムがこの訴訟に負け確定しても一太郎から別段使われてもいない機能をはずすだけのこと。それに「大企業」が負けることもありうるシステムだからこそ特許は意味があるのだ。

私の知財のことを教えてくれた師匠は、特許は中小企業のおっちゃんにも大企業とわたりあえる武器となりうるのだと常々言っていた。しかしあえて言うならば、それを真実にするか、ただのお題目にしてしまうかは、周辺システムをいかに運用するかに大きくかかっていている。

難しいことではない。特許に限らず「権利」というものは弱者も強者も等しく武器にできるものだが、「権利」が集中すれば、集積度に単純比例する以上に強くなるのは、誰もが知っている常識のはずだ。

身近な例を出せば、権利の一種といえる「お金」は、貧乏人も大企業も等しく「お金」の権利は行使できる。が、資本が集中した方が圧倒的に有利であることを知らない人間はいなかろう。

今回の特許裁判では、裁判所が常用するほど普及した製品であっても、一応形だけでも「廃棄」と宣言した一審は、まぁかろうじてまともかなと思う。これができなくなったら特許はもはや無用の長物である。


また、どこかの阿呆どもが「だからソフトウェア特許は駄目だ」とか言っている。今回の件、ソフトでなければ起こらないとでも?

「あんなものが特許として認められるなんておかしい」とかに至っては、意味のある文として成立していない。今回問題となった特許はかなり古く、あと数年で切れる。その時期に思いついて特許を取得した松下は凄いと思う。また、「価値がない」のなら、ジャストは困りはしないだろう。価値があるからこそ裁判で争い、負けても控訴しているのだ。


そして色々見て回って改めて思ったことだが、弁護士や弁理士というのは、法律や特許には詳しいけれども、どうあるべきかという立法論や、運用すべきかという点になると全く無能だということだ。これは立場上仕方のないことであって、彼らの無能を責めても意味のないことらしいとわかってきた。

こういうことは、日本全体、世界全体という広い立場で無私に見渡すことのできる力のある人だけが考え、提案できることなのかもしれない。そうした立場にあるべき種族はおそらく、本来政治家と学者なのだろうが、哀れむべき彼らは既に構造的に本心について何もいえない境遇に放り込まれているようだ。

今回色々見て回って、もっともまともだと思った意見は「日々早々」の2月3日記事「ジャストシステム
http://d.hatena.ne.jp/semisig/20050203#p2
における、ジャストシステム社長についての言及、

「社長がACCSの副理事。・・・ふーん、ACCSの副理事は「コピーはダメだけどその特許は問題ないから使っていいよ」って言うんだ:-p」

だと思う。実はこの意味はそこそこ深いかも知れない。(書いた本人がどれだけ考えているかは知らないが。)

がまぁ、オチがついたということで、本件についての言及はおしまいにしてしまおう。では。