小動物

暗くなってから、サイクリングロードと呼ばれている川沿いの舗装路を自転車で走っていると、目の前を何か白っぽい小動物が横切った。

人里に出てくる小動物といえばたぬき、きつね、いたちが多いが、動きやシルエットから明らかにそれらではない。

でかいねずみ?と一瞬思ったりしたのは、おそらく先日知人に借りた、さいとう・プロ作品「サバイバル」(http://www.saito-pro.co.jp/survival/index.htm)が脳裏にあったからだろう。しかし、見たものはねずみではありえない。

自転車を停めてハンドルを川方向に向け、高輝度白色LED前照灯で道路横を照らすと、その小動物はまるまってそこにいた。

猫か?いや、う…さ…ぎ?

そうだ、うさぎだ。ノウサギ(日本の野生種)でもなく、日本白色種(よく小学校などで飼われている日本で作られたペット用のアルビノ http://www.nlbc.go.jp/hinshu/jikken/l383bs.htm)でもない。耳が短くて丸い体つきなのでチンチラの血が混じっているかも知れない(http://www.arba.net/photo.htm)。

どうしてこんなところに愛玩用うさぎが……と思って回りを見渡すと、他にも丸い物体がいくつか。まさかと思って、自転車からLEDライトを取り外し、それらを照らしてみる。全部うさぎだ。白も灰色もぶちもいる。ぱっと見渡して最低6匹。

近くにいるやつから順番に見て回る。近づいてもうさぎは逃げようともしない。おかしい。

4匹目となる灰色のうさぎに近づいたときに、疑問は解けた。そのうさぎの前には皿がおいてあって、そこには餌がはいっていた。彼らはここで飼われているのだ。

よく周りを見渡すと、20mほど向こうに青色シートの小屋が2、3軒ある。なるほど。この類の人々は一本隣の川に集まっていらっしゃることで有名だが、彼らは縄張り争いも激しいので、最近追い出されてここに住み着いたのかも知れない。

状況を理解して、自転車に戻り、また走り続けることにした。自転車にまたがって2〜30mほどの間、多くのうさぎが道端にいるのが見えた。おそらく20匹以上いただろう。

誰に向かってか知らないが、思う。頑張れ。生きろよ