制御可能とは?

昨日の私の記事には誤りがあるようなので、補足訂正をさせていただきます。

「飛行ロボット」という言葉について、Googleで検索して現れる数サイトをざっとみて、新規性を表す特別の意味はないものとしていましたが、どうやらセイコーエプソンやその協力研究者のいう「飛行ロボット」には自律制御の意味が含まれていた模様です。

そうでなければ、proxyflierPixelitoなど6.9gしかないラジコンヘリコプターを差し置いて「最軽量」とは言えないようです。

よく見れば、協力グループとして「東京大学・河内研究室」名があったではありませんか。私は飛行について何の学問的知識もないのですが、実は、無謀なことに河内先生とは電子メールで直接お話させていただいた経験があります。その議論のおりに、河内先生が「飛行」の定義に含まれる「制御可能」の意味について非常に厳格であったことを思い出しました。河内先生は、木村秀政先生の人力飛行機の初飛行、あるいは内藤晃先生の人力ヘリコプターの飛行について「飛行」とはお認めになっておられませんでした。

河内先生は超小型の羽ばたき飛行装置も研究されていて、河内先生にはこうした超小型飛行装置は大きな研究分野なのでしょうね。私が想像するに河内先生は昆虫のような機械を目指しておられるのではないかと思われ、PC Watchの記事において「将来的には災害時のレスキューなどにおいて、単独ではなく群で広範囲の探索」*1と伝えられている発言からも虫を意識したことが窺えるものと考えられます。

ただ一つ疑問に思うのは、今回のセイコーエプソンが出した飛行ロボットを見る限り、これは「広範囲での探索」というような屋外での活動にはとても向かないではないかということです。

先の記事で話題にしたAeroVironment社のはBlack Widow号は飛行機ですから、ホバリングなどはできませんし、狭い空間で自由に動けるものではありませんが、長距離、長時間のフライト、カラービデオカメラでの撮影の伝送など、軍事などに向いた屋外活動を意識して開発されており、だからこそDARPAが支援していました。

一方、今回の飛行ロボットは、ホバリングなどの狭い空間での緻密な3次元的展開を生かすための自律制御と言えますし、風に弱く、また航続距離なども望める仕組みではありません。当面屋外で飛ばすつもりもないのに将来屋外で飛行させるかのように言っているのは、開発者が開発資金を集めるために適当くさいことを言っているのではないかという気配を感じてしまいます。

もちろん、お題目がどうであろうと、この飛行ロボットが世界一と呼べる素晴らしい技術の凝縮であることは間違いありません。惜しみない賞賛が送られるべきでしょう。

が、ひねくれものの私は最後に敢えて一つお小言を言わせていただきます。PC Watchの記事にある動画やそのキャプションからわかるように、デモにおいてこの飛行ロボットは自律制御に失敗してしまったとのことです。河内先生の過去の発言からすると、これは「飛行」とは呼べないと思うのですがどうでしょうか。

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