茶碗の話

さて、文人たるid:funaki_naoto さんの「はてなの茶碗」には、なぜか茶碗の話は出てきません。私も茶碗のことなど知りはしませんが、ここは差別化をはかるために、最初だけでも無理して真面目に茶碗のお話など。

はてなの茶碗」のつかみにこんなのがあります。

 最近、アンティークブームとかいいまして、古いものがもてはやされておりますが、ものの値打ちてなものはどないして決まるんですかな? 骨董品にしても美術品にしても、値段というものはいったいどうやって決まるんか、いまひとつようわからんところがございます。  色、形、模様から上薬の具合まで見たところまったく同じ壷がふたつ並んでおりまして、値札が、大きい方が二十万円、小さい方に四十万円としてございます。
  • なんで、こないに値が違いまんねん?
  • な、何が?
  • いや、なんでこれが二十万でそっちが四十万でんねん?
  • そら、これは四十万の値打ちがあるし、そっちは二十万の値打ちしか無い、ちゅうことでん
  • やって、どう見てもおんなじでんがな。色も模様も形も、上薬の具合も...そんで、なんで大きい方が二十万で、小さい方が四十万でんねん
  • あんたなぁ、ヤキイモ買うてんのと違うんやで、こんなもん、グラムなんぼの量り売りやあろまいし、大きいから高い、小さいから安い、そんなもんやないんや。目の開いてない素人目には違いはわからんでも、これには四十万の値打ちがあり、こっちのには二十万の値打ちしか無い、ちゅうことやな。美術品・骨董品ちゅうような世界は、ま、そういうもんだす まあ、じっくりと心を落ち着けて、このふたつの壷を見比べてみなはれ。そしたら違いっちゅうもんが見えてくるもんでおます
  • はぁ...じっくりとね...(じーーーーーーーーーーーーーーー)ほんに...なるほど...四十万でんなぁ、こっちはなるほどよう見るとどことなし品がある。こっちは大きい分どことなしに間延びしてますなぁ、いやぁ、やっぱりこの辺が値に現れてますのやなぁ
てなこと、言うてたら、係員が飛んできまして
  • すんまへん、値ふだが入れ替わってました!
 ま、世の中こんなもんやと思いますわ。物の値打ちちゅうようなもんはいまいち、よう分からんところがございます。

ところで、色も模様も形も上薬の具合も同じに見えて、大きい方が安くて、小さいほうが高い二組の器というのを、実際に見たことがあります。そこは名のある骨董屋ですが、骨董とは関係ないとある縁で年に一度だけ泊まらせていただいているです。

わたくしのような油屋もどきが、いくら「はてな」と首をかしげてみても大きいほうが安い、その訳などわかろうはずはない。仕方がないので、店主におそるおそる聞いてみた。「ああ、それは焼きが違うんや。指ではじいてみ、音が違うよってに。」とのこと。

小さいほうの器を指ではじくとちーんと済んだ音、大きいほうはつーんと少し濁った音がして、明らかに大きい器の方の焼成が甘いことがわかりました。恐らく焼いた釜も同じなのでしょうが、置き場所によって焼き上がりが変わって来るのでしょう。なるほど、茶碗とは奥深いものだと思いました。

なお、骨董屋で茶碗を指ではじくのは通常ご法度で許されることではありません。私の場合、店主が私に骨董のことを学ばせようと、特別に許してくれたものです。

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