美浜原発3号機の2次冷却水系からの蒸気漏れの事件、色々話題になっているようです。

Blogを見て回って、「放射能漏れはないと発表されたが、本当なのか?もう一度調べろ!」という論調のものが非常に多いことがわかりました。そしてこのような意見の持ち主は「原発の問題にはかねがね関心がある」「原発は身近だ」と主張する人に特に多いように思われました。この状況は憂うべきことのように私は思います。

二次冷却水が原子炉から離れたところで漏れた事と、放射能漏れとは、ほぼ何の関係もないであろうと推測すべきです。誰かが家庭用電源の漏電で感電死する事故があったとして、「放射能漏れは?」と騒ぐことが見当違いであるということならば、さすがに理解してもらえるのではないでしょうか?確かに原発で発電している電気での事故なので、原子炉と無関係ではありません。確かに漏電事故でもそれが大変大きな規模のものであれば、その影響が電線を伝って原発まで及ぶ可能性がないとはいえませんが、通常は電気系統の事故と原子炉の放射能漏れとは無関係と考えるべきでしょう。

今回の事故について「放射能漏れについてもう一度調べろ!」と騒ぐことについて、指摘したいことが2点あります。

1.仮に、「もう一度調べた結果、やはり放射能漏れはないことが明らかになりました」と発表されたとして、どういう根拠でそれを信じることができるのでしょうか?1度目の発表は信じられなくて、2度目は信用できるとでもいうのでしょうか?「原発の問題にはかねがね関心がある」「原発は身近だ」なのであればこそ、原発の原理を理解し、ごまかすことのできない事実から放射能漏れの可能性について自身で判断できるようにならなければならないのです。「放射能漏れ」の結論だけを聞いて何か判断できるかも知れないという幻想は愚かとしかいえないのです。

2.今回のように、誰がどう考えても放射能漏れの可能性が低いはずの事故について、「関心が高い」とする人が、「放射能漏れはないと発表されたが、本当なのか?もう一度調べろ!」と無用な馬鹿騒ぎすることについて、行政側はどう思うでしょうか?今後、本当に放射能漏れを伴った事故が起こった場合も、今回同様におこる「無用の」騒ぎを防ぐためには「放射能漏れについて隠さなければならない」と考え、また同時に、これほど非論理的思考しかできず、結論だけしか見ない態度を見て「放射能漏れの真実などいくらでも隠せる」と判断するでしょう。いや、彼らをそう考えざるを得ないように追い込んでいるとも言えます。何もなくても、あっても同じように馬鹿騒ぎする愚民に対応するには、「いつも何もない」ように事実隠しをする以外、他に手立てがないと思いませんか?

これら馬鹿騒ぎをしている人々には、根拠のない主張を声高に叫ぶことの意味をもう一度考え直し、まず自身が論理的に事実について推測できるよう、改めてもらいたいと思うものです。

なお、今回の事故でも軽微な放射能漏れの可能性は全くのゼロではありません。しかし仮に事実は漏れていたとしても、馬鹿騒ぎすることによって、放射能漏れについての何かが変わるということはありません。