美浜原発で死亡事故

昨日の夕方、福井県美浜町関西電力美浜原子力発電所3号機(加圧水型軽水炉、出力82万6000キロワット)において二次冷却水系の配管に大穴があいて、蒸気が噴出し、作業員4人が死亡、7人が怪我をする事故が発生したという報道。

報道によれば、穴が開いたのは復水器から蒸気発生器につながる炭素鋼製の復水管(直径約56センチ、肉厚約1センチ)だったとのことで、上部が約50センチにわたってめくれるという激しい破壊の写真が写されていた。

漏れたのは二次冷却水系であり、また漏れた位置も原子炉から離れたタービン側近くなので、もちろん放射能漏れの心配はない。

この事故は「原子力発電所の事故というべきでなく、発電所事故、ないしは大型プラント事故と考えるべきだろう。このような蒸気配管はどこのプラントにもあり、どこでも起こりうる。しかし熱媒体としての水の配管の腐食対策は、腐食の基本中の基本とも言え、こんな配管で大事故を起こすのかよく理解できない。

むしろ、放射能とは無関係な部分ゆえに、安全対策に手を抜いていなかったか、きちんと点検していなかったか問われるべきなのかも知れない。

原子力発電所というものが商用開発されるために、気液二相流、沸騰・凝縮伝熱、そして配管腐食の問題は大変精密に研究された。従って配管腐食対策は、原子力発電所では最も進んでいると考えてよいはずのものである。

ところが、報道によれば、2次系配管の肉厚などは10年ごとに4分の1ずつ点検し、40年ですべてを終えることになっており、破裂部分は76年に運転を始めてから一度も点検されていなかったとのことだ。これは果たして正しい処置だったのだろうか?40年に一度しか点検しないというのは、感覚的に長すぎるように思う。

報道によれば、配管は毎日午前中に目視点検していたとのことで、この日も午前中に点検して異常はなかったとのことだが、この目視点検で今回の事故を未然に防ぐことは無理だと思う。

怪しげな報道情報に頼った、直感的な意見だが、「放射能とは関係ない部分だから」という慢心、手抜きがなかったか、について検討されなければならない事故のように思われる。原子力発電運用の難しさとは無縁の、むしろプラントにおける基本的安全対策を欠いたことが今回の事故原因のように私には映る。