王国は崩壊したのか?

コクド元会長の堤義明氏は、かつて帝王だったそうである。あるいは神とさえ言われたようである。

ところが、堤義明氏が証券取引法違反の容疑で逮捕された瞬間、マスコミは手のひらをかえしたように、「王国崩壊」「帝王落つ」と、堤氏が社会的に既に死んだかのように書き立てている。

これは真実なのだろうか?

暴力団幹部は、罪を犯したとして裁かれ、ムショに長年ぶち込まれたとしても、出所の暁には、かつての権力を失うことなくもとの地位(あるいはそれ以上)に返り咲く。

裁判所での有罪判決は、被告人の元いたコミュニティでの地位剥奪を意味しない。経済力の剥奪も(罰金および犯罪で直接的に得た金銭の没収を除いて)意味しない。*単に*数年間「懲役」という名の身柄拘束を行うだけで、時間が経過さえすれば何の制限も課されないのだ。

だから、暴力団幹部は、その数年間経過後に、元の権力が回復できるよう、組織を作り上げている。

堤義明氏の容疑は証券取引法違反であって最高刑は懲役5年である。報道を聞く限り、余罪があるようではないので、併合罪で懲役7.5年になることはなかろう。

ただし、証券取引法では(堤氏の容疑である)有価証券報告書の虚偽記載については罰金が最高5億円である。また、犯罪行為により得た財産は没収される。

しかし、堤氏にとって、罰金の額はハナクソのようなものではなかろうか?また没収とされるべき財産以外に、堤氏の権力を維持するための金が、彼の支配の及ぶ様々な組織に既に用意されるだけの時間は十二分にあったはずだ。

5年経った後に、堤氏が西武王国に返り咲かないという根拠がどこにあると言えるのか?誰も何も示してはいない。

小柳前西武鉄道社長が、真実を(たかだか警察ごときに)証言したらしき後に何故自殺したのか。堤義明氏逮捕の映像において、西武関係者職員が何故直立不動で見送ったのか。

堤氏の権力が、逮捕されてなお磐石であるよう、既に組織固めがしてあったとしたらこれらの事象はなんら疑問とならない。

マスコミは堤氏逮捕ということでピーヒャラピーヒャラ祭りのようなことを書き立てているが、堤氏と西武王国はこれからも続く長い歴史の中で、たった5年間という時間の浪費と、ほんの小額の損失があるという、ちょっとした出来事に過ぎないのかも知れない。

もちろん、こんなのは私の妄想に過ぎないが、こうした堤氏の本当の「組織」の姿について、きちんと情報を示している人は誰一人としていない。